以前より取り組んできた同建物の4室目の改修計画(全9室)。今回はこれまでの改修同様のプラン構成は踏襲しつつ、既存コンクリート躯体と新たなマテリアルの距離感をテーマとしています。下階への音の問題と土足での利用が想定されるため床は置き床の上にタイルが貼られ、ある範囲は色と大きさの違う素焼きのタイルを貼ることで場所の違いを作っています。素焼きのタイルにはエポキシ樹脂が流し込まれており、表面は全体的に覆われて反射面と素材が層となっています。外部に面した壁は既存壁ではなく断熱がされた壁の上に下地が新たに貼られモルタルが塗られています。エポキシ樹脂面の床と近接した壁や柱には艶のある塗装が一部塗られ像や窓からの光が写り込み、開口部にはサッシの印象を薄める木の付け柱が施されています。ここでは、新しいものと旧いものの関係を、時には対比的に、時には故意に馴染ませることで、リノベーション=刷新という一方向的なものとは違う、虚実入り混じった異なった時間軸を並置させるような空間のあり方を試みています。
用途: 賃貸オフィス
延床面積: 57㎡
構造: 鉄筋コンクリート造
規模: 地上3階の2階
企画: 尾張屋土地株式会社