勾配のある敷地の中に4棟の一戸建て住宅が集まって住まう計画です。
敷地のある中台は、台地と低地が複雑に入り組んだ谷戸(やと)と呼ばれる地形が形成されており、すり鉢状に広がった谷戸地形の中腹から高台に近い場所に位置します。斜面地の為、周辺では道路面と宅地をフラットになるまで切土を行うか、宅地造成をして敷地面を持ち上げ造成するかの2つの方法が一般的に行われていますが、今回の計画では既存で平らとなっていた敷地を元の地山の状態へ戻し周辺の地形に沿って土地のレベルを勾配で繋ぐことで擁壁築造を最小限に留めています。敷地の造成から設計を行うことで、街に対して開かれた地続きの住宅地の風景を目指しました。
4棟はオーナー棟と3つの賃貸で構成されています。法規上個々の敷地は分かれているものとして計画されていますが、4つの敷地が空地を持ち寄ることで公園のようなアプローチを実現しています。都心部では賃貸併用住宅は広さの制限から積層され、オーナー邸と賃貸住戸が主従の関係に見えがちです。今回の計画では敷地が共用部の役割を果たす集合住宅と捉えることで、郊外における豊かな住まい方を試みています。
位置: 板橋区中台
用途: 賃貸併用個人住宅
敷地面積: 448.14㎡
延床面積: 約250㎡
構造: 木造
規模: 2階建て4棟
工期: 2016.05〜2016.12
企画: 株式会社リブラン
施工: イトーピアホーム
グッドデザイン賞_2018 受賞